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2006年03月22日
WBCを総括する
オリンピックでもW杯でもそうだが、国を代表して戦うというのは大変なことだ。また応援する方は非常に力が入る。特に2002年のサッカーW杯は非常に盛り上がったし、俺も大興奮だった。でもやっぱり野球ファンとしては、野球の世界戦で盛り上がってみたいという気持ちをずっと持っていた。今回のWBCはこの野球の世界戦を立ち上げたという点で大きな意義があると思う。当初盛り上がりが不安視されたが、2次リーグ以降は非常に盛り上がったと思う。
もちろん課題も挙がった。審判の問題は言わずもがなだが、個人的には組み合わせに疑問を持った。1次リーグの1位と2位がそのまま2次リーグに入るため、同じ国との対戦が発生する。また2次リーグの1位と2位が準決勝で戦わなければならない。その結果日本と韓国は3度も戦う羽目になった。結果だけを見ると、韓国は日本に負けるまでやらされたようで少々気の毒になる。2次リーグが異なる中南米の国との対決も見たかった。
1次リーグはある程度地域別になるのは仕方ないだろう。移動の手間や予算などの問題もある。でも2次リーグ以降はもっとシャッフルしても良かった。例えば1次リーグA組とC組の1位、B組とD組2位で2次リーグのA組を作り、同じくA組とC組の2位、B組とD組の1位で2次のB組を作るとか。今回の1次リーグの結果を当てはめれば、2次A組は韓国、アメリカ、プエルトリコ、ベネズエラ。B組は日本、メキシコ、キューバ、ドミニカになり、これはこれでなかなか面白そうだ。
無論準決勝も、2次リーグのA組1位対B組2位、A組2位対B組1位という風にクロスさせ、できるだけ同じ対戦が発生しないようにするのがいいと思う。日本に勝っていた韓国が準決勝で日本に敗れたのと同様、ドミニカも2次リーグでキューバに勝ちながら準決勝では破れている。あらかじめ決まっていたルールではあるが、やはり何か釈然としないものは残る。
球数制限のルールは面白いと思った。層の薄い国が不利になるが、1人の絶対的なエースにおんぶにだっこで勝ち上がることもできなくなる。先発が好調でも中盤で替える必要があるため、ゲームがスリリングになるように思う。
むろん興が削がれる部分もある。1次リーグ、2次リーグでは90~100球程度とし、準決勝と決勝では制限なしぐらいがよいのではないか。
これは野球というスポーツそのものの特徴になるが、実力差が勝敗に影響する度合いが(例えばサッカーと比べて)小さいように思う。今回のWBCでもそうだが、「同じ相手に勝ったり負けたりする」ケースがままあるのだ。予選リーグはまだしも、トーナメント方式で一発勝負というのは(特にプロ野球の長いリーグ戦に慣れていると)非常に厳しい戦いだろう。3戦方式や5戦方式でもいいと思うが、日程を考えると難しいか。
それからリーグ戦で同率の場合の順位決定は難しい。サッカーでは得失点差を使うことが多いが、野球では点を取る時は大量得点試合になるため、適切かどうかわからない。今大会で失点を基準にしたのはそのような事情もあるのだろう。4チームのリーグ戦だと三つ巴状態になりがちなため、「当該国同士の勝敗」は用をなさないことが多い。
100試合以上もこなす国内リーグではなかなか同率というケースはないが、4チームで1回戦総当たりならば十分に起こりえる。適当な基準が何かあるといいのだが。
時期の問題もある。国内リーグ開幕前では調整が難しいし、ウィンターリーグのある中南米の国々とは仕上がり具合が違う。3月開催だと四季のある北半球の国はやや不利ではないか。
夏季オリンピックと同様の時期に国内リーグを中止して行うのが良いように思うが、シーズンが盛り上がってる時期に中断するのは困難かも知れない。中断せず並行して国内リーグを行うと代表選考でまたぞろ問題が発生するのでよろしくない。
日本でも(ドーム球場をフル活用して)ウィンターリーグをやるというのも1つの手だが、代表選手への負担が大きくなりそうだ。
何やかやと問題は残っているが、とにかく野球の世界大会という点で大きな意義のある大会である。回数を重ね、裾野を広げてサッカーW杯のような権威ある大会になってほしい。
そして真の最強日本チームを編成して欲しい。松井や井口が辞退しているし、セーブ数日本記録保持者のドラゴンズ岩瀬が選出されていない(彼がいればアメリカ戦や韓国戦での終盤の失点はなかったかも)。球団や選手たちの意識も変えていくべきだろう。
[スポーツ全般] 投稿者 Naru : 2006年03月22日 22:36
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