暴露と守秘義務のような何か

「同性愛だと暴露された」転落死した一橋法科大学院生の両親、同級生を提訴

大変いたましい事件であり、軽々しく他人の性癖や嗜好を話すものでないことは言うまでもないので、さて置くとして。

逆に考えてみよう。ある日突然クラスメートから自分の性癖についてカミングアウトされ、しかもそのことは墓まで持って行ってほしい、さもないと命の危険(自殺の可能性)と訴訟リスク(慰謝料の可能性)まであると言う。

重たくね?

そりゃスキャンダラスにあちこち話して回ろうなんて思わないけど、何の前触れもなくそんな重大な秘密背負わされたいとは思わないなぁ。

恋愛は自由だし、誰に告白するのも自由。だけど告白すれば自分の性癖は相手に伝わるわけで、その性癖を秘密にしておきたいのなら、当然のことながら告白は慎重にならざるを得ないのではないか。

恋愛と告白の自由はいいとして、さらに告白の相手にこれだけの責任を負わせるというのは、さすがにどうかと思う。

LGBTでなく他の性癖、例えばロリコンに置き換えてみよう。年若い女の子が好きな男性(仮に年齢は30歳としよう)が、別に教え子とかではない(職業倫理上の制約がない)女子高校生に恋をしたとする。恋をするのは自由。で、思いの丈を打ち明け、拒絶される。告白は自由だし、断るのももちろん自由。

女子高校生はそのことを周囲に話し、ロリコンであることが周囲に広まってしまったこの男性は自殺してしまったとしたら、果たしてこの女子高校生は男性に精神的苦痛を与えたと言えるだろうか。

別に何でもいいんだ。熟女好きでもいい。その場合は「女子高校生」というところを「60代の女性」に置き換えれば同じ。

というか、別に性癖関係なくね?ごくごく普通の男女関係でも「告白した→振られた→告白したことを周囲に話された→いたたまれなくなって自殺」でも同じことのような気がしてきた。

元の話で、LGBTであることが暴露されるべきでない秘密として保護されるべきものだとしても、その秘密を予告なく一方的に負わされるというのはやっぱりちょっと納得できないかな。
逆に、「今からのことは誰にも言わないでね」みたいな合意が事前になされていたのなら、これは保護されるべき内容ということになる。同意があったわけだから。